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大阪地方裁判所 昭和52年(ワ)625号 判決 1978年10月30日

昭和五一年(ワ)第六五二九号事件原告・

下村由美

昭和五二年(ワ)第六二五号事件被告

ほか一名

昭和五一年(ワ)第六五二九号事件被告・

圓尾和子

昭和五一年(ワ)第六五二九号事件原告

ほか一名

主文

(昭和五一年(ワ)第六、五二九号について)

一  被告圓尾和子および同中村壽太郎は各自、原告下村由美に対し金七万〇、九一八円およびこれに対する昭和五一年一二月二七日から完済まで年五分の割合による金員を支払え。

二  原告下村由美の被告両名に対するその余の請求および原告下村慶江の被告両名に対する請求はいずれも棄却する。

三  訴訟費用のうち、原告下村由美と被告両名との間に生じた分はこれを一〇分し、その一を被告両名の、その余を同原告の負担とし、原告下村慶江と被告両名との間に生じた分はこれを全部同原告の負担とする。

四  この判決の第一項は仮に執行することができる。

(昭和五二年(ワ)第六二五号について)

一  原告圓尾和子の被告下村由美および同下村慶江に対する請求をいずれも棄却する。

二  訴訟費用は原告の負担とする。

事実

第一当事者の求める裁判

(昭和五一年(ワ)第六、五二九号事件について、以下甲事件という。)

一  原告ら

「(一) 被告両名は各自、原告下村由美に対し金一〇〇万四、四四五円、原告下村慶江に対し金三〇万円および右各金員に対する昭和五一年一二月二七日から完済まで年五分の割合による金員を支払え。(二) 訴訟費用は被告両名の負担とする。」旨の判決ならびに仮執行の宣言。

二  被告ら

「(一) 原告らの請求をいずれも棄却する。(二) 訴訟費用は原告らの負担とする。」旨の判決。

(同五二年(ワ)第六二五号について、以下乙事件という。)

三  原告

「(一) 被告両名は各自、原告に対し金二〇万円およびこれに対する昭和五一年一〇月二一日から完済まで年五分の割合による金員を支払え。(二) 訴訟費用は被告らの負担とする。」旨の判決ならびに仮執行の宣言。

四  被告ら

「(一) 原告の請求をいずれも棄却する。(二) 訴訟費用は原告の負担とする。」旨の判決。

第二当事者の主張

(甲事件について)

一  原告らの請求原因

(一) 事故の発生

昭和五一年五月一日午後五時三五分ころ高槻市大塚町二丁目四五番一号先道路上において、東から西に向かつて歩行中の原告下村由美(昭和四六年一一月一〇日生まれ)に、被告圓尾和子が運転し、西から東に向かつて進行していた普通乗用自動車(高五五ふ二一号、以下被告車という。)の右前部が衝突し、同原告を路上に転倒させた。

(二) 被告らの責任

被告圓尾および被告中村壽太郎は本件事故当時夫婦であり、被告圓尾は喫茶店を経営し、被告中村は呉服卸商を営業していた者であるが、共同で訴外吉本春樹から被告車を借り受け、右各営業のために日常使用していたが、本件事故当時は被告中村の営業のために、同被告が同乗し、被告圓尾が運転していたものであるので、被告両名は同車につき自賠法三条本文所定の共同運行供用者であるうえ、本件事故現場は第三東和苑団地への進入路であり、変形交差点すぐ東方の地点で、南北に通ずる道路を南進し、交差点を左折して東方に通ずる道路(幅員五メートル弱)に入る車両にとつて、同道路上の右現場付近への見通しは悪い。したがつて被告圓尾は徐行して同道路上を歩行中の幼児等の有無を確認し、これを発見した場合、直ちに停車して接触事故を回避すべき注意義務があるのにもかかわらず、これを怠り漫然と二〇キロメートル毎時の速度で同交差点を左折し東側道路に進入し、駐車車両のすぐ外(北)側を歩行していた原告由美の発見が遅れたばかりでなく、その発見後急停車の措置を採らなかつたため、その過失により本件事故を惹起したものである。

(三) 原告らの被つた損害

1 原告由美の受傷

右脛骨骨折、腹部、右下腿挫傷

2 治療経過

入院

昭和五一年五月四日から同年六月一三日まで岡田外科に(四一日間)

通院

同年五月三日、同年六月一四日から同月一九日まで(うち実治療日数七日)

ほかに原外科、大阪医科大学病院に。

3 原告らの身分関係

原告下村慶江は原告由美の母であつて、同原告の親権者である。

4 原告らの損害額

(1) 原告由美の分

イ 治療費 八五万九、八四五円

(イ) 岡田外科関係 八四万四、四〇〇円

(ロ) 原外科関係 一万一、〇〇〇円

(ハ) 大阪医科大学病院関係 四、四四五円

ロ 入院雑費 五万六、〇〇〇円

ハ 付添看護費 二九万二、五九〇円

(イ) 職業付添婦(国方睦子)に対する報酬 一八万九、一四〇円

(ロ) 原告慶江が勤務先を休業して付添看護した補償分 一〇万三、四五〇円

ニ 慰藉料 八〇万円

本件事故の態様、原告由美の受傷、治療経過、同原告の右足の受傷は一応治癒したものの、事故による精神的衝撃により尿意を告げることができなくなり、それを失禁する状態が現在も続いていることその他諸般の事情をしん酌すると同人が右事実により被つた精神的苦痛に対する慰藉料は標記の金額が相当である。

ホ 弁護士費用 二〇万円

(2) 原告慶江の分

イ 慰藉料 二〇万円

同原告は原告由美の成長を唯一の目的にして女手一人で勤務しながら愛育しているものであるが、本件事故により精神的苦痛を受けたうえ、被告圓尾から乙事件を不当に提起され多大な同苦痛を受けたので、これらに対する慰藉料は標記の金額が相当である。

ロ 弁護士費用 一〇万円

(四) 損害の填補

前記(三)の4の(1)の原告由美の損害分のうち、イ(イ)(ロ)、ロ、ハ合計一二〇万三、九九〇円は被告圓尾から支払を受けた。

(五) よつて、原告由美は、残損害額金一〇〇万四、四四五円、原告慶江は損害額金三〇万円および右各金員に対する訴訟送達日の翌日である昭和五一年一二月二七日から完済まで民法所定年五分の割合による遅延損害金を被告両名が連帯支払することを求める。

二  被告らの答弁

(一) 請求原因(一)のうち、原告由美が東から西に向かつて歩行中であつたことは否認するが、その余は認める。同(二)のうち被告両名が被告車の共同運行供用者であることは認めるが、本件事故発生が被告圓尾の過失による旨の主張は否認する。同(三)のうち、1、3は認めるが、その余は否認。同(四)は認める。同(五)は争う。

(二) 本件事故は、原告慶江が原告由美を連れて歩いていたとき、原告慶江が同由美の手を離して先に歩いている間に同由美が駐車中のトラツクの後方から車道中央に突然飛び出して来たもので、その位置は既に被告車の制動距離内にあり、被告圓尾としては接触を回避できなかつた。同被告は前方を十分注視して約二〇キロメートル毎時の速度で同車を運転していたものであるからなんらその運転に落度はなく、右事故は原告慶江が車両の通行で混雑する道路上で原告由美から手を離し、自由に放任した監護上の一方的な不注意により発生したものである。

(三) 原告由美の右脛骨骨折は非開放性の転位の少い単純骨折で当初原外科の診断では入院の必要がなかつたものである。岡田外科では昭和五一年五月一三日ギブス固定し、同年六月二日それを除去しているから、少くとも同日には退院できたものである。同病院の治療費のうち、入院料が六九万四、〇〇〇円となつており、入院一日当り平均一万六、九二七円という高額なものであつて、同原告の受傷の程度からすれば、そのような高額な部屋に入る必要性はない。そのうえ、同原告の付添看護を職業付添婦と原告慶江と二人でする必要もない。したがつてこれらの損害は本件事故と相当因果関係がない。

(乙事件について)

三 原告の請求原因

原告は本件事故につき、その発生原因となつた多少の過失があることを認めて(のち、右自白を撤回し、原告はまつたく無過失であると主張した。)、被告両名に対して甲事件で被告らが請求原因(三)の4の(1)のうち、イ(イ)、(ロ)、ロ、ハで主張する金額合計一二〇万三、九九〇円を支払つたが、右のイ(イ)の岡田外科の治療は過剰な治療であつて四〇万円を超えるものは必要性のない不相当なものであり、またハの(イ)の職業付添婦の付添看護も必要性がないから、いずれも本件事故と相当因果関係がなく、したがつて、原告は同部分の損害合計六三万三、五四〇円は被告らに対して賠償支払する債務がないのにもかかわらず、弁済したものであるから、被告らは法律上の原因がなく原告の損失において、同額を不当に利得している。したがつて、原告は被告両名に対して連帯して内金二〇万円およびこれに対する訴状送達日の翌日である昭和五一年一〇月二一日から完済まで民法所定年五分の割合による遅延損害金の支払を求める。

四 被告らの答弁および抗弁

(一)  本件事故の発生、被告由美が原告主張の金員を原告から支払を受けたことは認めるが、岡田外科の治療全部および職業付添婦の付添看護は必要性のあるもので、その費用は相当な損害であり、かつ、右事故は原告の一方的な過失により発生したものであるから、原告は被告由美が被つた損害額全部を賠償すべきであるのに、また前記のとおり未払部分が残存しているから、被告らの不当利得の主張は理由がない。

(二)  仮に、原告の主張が理由があるとしても、原告主張の過払部分は岡田外科および職業付添婦訴外国方睦子に対し支払われているものであるから、被告らには利益は現存していないので原告の請求は失当である。

第三証拠関係〔略〕

理由

(甲事件について)

一  請求原因(一)のうち、原告下村由美が東から西に向かつて歩行中であつた点を除きその余の事実は当事者間に争いがない。また、同(二)のうち、原告ら主張のとおり、被告両名が被告車につき共同運行供用者であることは当事者間に争いがないが、被告らは同車の運転者被告圓尾の無過失および原告下村慶江の同由美に対する監護上の過失を主張するので、まず、本件事故発生の状況について検討する。

(一)  成立に争いがない乙第一号証、原告下村由美、同下村慶江(一部)および被告圓尾和子各本人尋問の結果を総合すれば、次の事実を認めることができ、原告慶江本人尋問の結果のうち右認定に反する部分は前掲各証拠に対比してたやすく措信することができない。

1 本件事故現場は車道幅員約八メートルの南北に通ずる道路と車道幅員約五・八メートルの東西に通ずる道路(以下東側道路という。)とが丁字型に交差する交通整理の行なわれていない交差点から東方に十数メートル進んだ東側道路中央(車道南端から約二・九メートル中央寄り。)辺りで、八木田医院裏口前方付近であること。同現場付近は市街地で公安委員会が最高速度を四〇キロメートル毎時に制限していること。

2 被告圓尾は被告車を約二〇キロ毎時の速度で運転し南北道路を北から南に向かつて進行し、交差点付近で約一五キロメートル毎時に減速して左折し、東側道路に進入したあたりで、その車道左(北)端付近に歩行者二人を認めたので、その方に注意を奪われて、進路を中央寄りに採つてそのまま進行していたところ、八木田医院前の道路上に駐車していたトラツク一台の後部約五〇センチメートル後方から車道上に南から北に向かつて歩いて出て来た原告由美に被告車の右前部が衝突し、同原告は東方に約一メートル跳ね飛ばされて転倒したこと。前記駐車車両は八木田医院のブロツク塀から人一人通れるぐらいの間隔を空けて西向きに駐車し、被告車の通過時同車と駐車車両との横の間隔は約七〇センチメートルであること。同被告は同原告との衝突時まで同原告の存在および動静にはまつたく気付いていないこと。

3 他方原告慶江はその実子原告由美を保育所から自宅に連れて帰るため東側道路南端を東から西に向かつて連れ立つて歩いていたが、駐車車両の後方まで来たとき、原告由美は同車とブロツク塀との間を通ると言うので手を離し、原告慶江は同車両の右(北)横に回つて車道上を歩いていたところ、原告由美は同車両とブロツク塀との間には土砂を容れた箱が置いてあつて通れなかつたため引き返して、同車両の後方から車道上に出て来たこと。この衝突時、原告慶江は同車両の運転席右(北)横あたりを歩行していたこと。

(二)  右認定の事実によれば、同被告は右前方の注視を厳にしていれば、駐車車両の後部右角後方あたりにいる原告由美を被告車の制動距離(約五・四メートル)内に至る前に発見しえ、直ちに急制動の措置を採つて同原告との衝突を回避しえたと認められるので、同被告には右注意義務を怠つた過失があり、右過失により右事故を発生させたというべきであるが、原告慶江にも原告由美が一旦駐車車両の左(南)横に行つたものの引返して車道上に出て来る可能性があるのに、一時同原告から目を離して漫然と一人で歩いていた不注意があり、その監護上の過失も本件事故発生の原因として寄与していることも否めないので、双方の過失が競合して右事故が発生したというべきであり、その寄与の割合は同被告の過失を八とすれば、原告慶江の過失は二とすべきで、同原告の過失は被害者原告由美側の過失として、同原告の被告らに対する損害賠償債権額の算定に当り過失相殺の対象として考慮される。

(三)  そうだとすると、被告両名は自賠法三条本文により原告由美の受傷により生じた損害を賠償すべき義務があり、右各債務は不真正連帯債務の関係にあるといえる。

二  そこで、右事故により原告らが被つた損害について検討する。

(一)  原告由美が右事故により請求原因(三)の1の傷害を被つたことは当事者間に争いがなく、成立に争いがない甲第二、三号証、第四号証の一ないし七、乙第二号証、原告由美、同慶江各本人尋問の結果によれば、その2のとおりの治療経過を経たことが認められる。もつとも、原告由美の右脛骨骨折が複雑骨折であつた旨の原告慶江の供述部分は前掲各証拠によれば、受傷直後診療した原外科には入院せず、昭和五一年五月四日岡田外科に入院し、同月一三日ギブス固定し、同年六月二日には除去していることが認められることからして措信するに十分ではないが、それが単純な骨折であるとしてもその病状等に照らして前記の治療経過は相当であるといえる。そして3の事実も当者間に争いがない。

(二)  右事実を前提にして原告らの損害額の明細についてみてみる。

1 原告由美の分

(1) 治療費

前掲甲第二、三号証、第四号証の一ないし七、原告慶江本人尋問の結果に弁論の全趣旨を総合すれば、原告由美の治療費に合計八五万九、八四五円を要したことが認められる。被告らは右のうち岡田外科の入院料が高額であり、その必要性がないことを主張する。なるほど、前掲甲第二、三号証および乙第二号証によれば、同外科での入院料は六九万四、〇〇〇円であることが認められ、原告由美は昭和五一年五月四日から同年六月八日まで個室に入つたため入院料が入院日数に対比してかなり高額となつたことが窺えるが、前掲乙第二号証、原告慶江本人尋問の結果によれば、原告由美は当時四歳の幼女であり、本件事故により相当な精神的衝撃を受け、かつ、足の痛みのほかに腹痛を訴えており、前記のとおり右足をギブス固定していることが認められるので、これらの諸事情等を勘案すると個室の使用が不必要、不相当であるとはいえないので、前記の治療費八五万九、八四五円全額は相当な損害と肯認して差支えないと思料される。

(2) 入院雑費

経験則上、原告由美の入院期間中一日当り七〇〇円の雑費を要することが認められるので、その四一日分は二万八、七〇〇円となる。

(3) 付添看護費

イ 職業付添婦(国方睦子)に対する報酬

原告慶江、被告圓尾各本人尋問の結果に弁論の全趣旨を総合すれば、原告由美の入院期間中、夜間(午後七時三〇分ころから翌朝六時ころまで)同原告の付添看護に職業付添婦訴外国方睦子が当たり、その報酬に一八万九、一四〇円を要したこと。原告慶江は昼間は勤務先を休んで付添看護をしたが、内縁の夫河村健一、および自分の実子下村進一(当時七歳)と同居し、家事に従事しなければならなかつたことが認められるので、右国方の付添看護の必要性は肯認できるので、その報酬一八万九、一四〇円は相当な損害として首肯できる。

ロ 原告慶江に対する休業補償分

原告慶江本人尋問の結果および弁論の全趣旨によれば、原告慶江は原告由美の自宅および入院中の付添看護のため昭和五一年五月二日から同年六月二〇日まで勤務先を休業し、入院中は午前八時から午後七時ころまで岡田外科にいたこと。休業中はまつたく収入がなかつたこと、その間の休業損害額は一〇万三、四五〇円となることが認められる。原告由美の病状、年齢等からみてその間の付添看護の必要性は肯認でき、かつその日額は二、〇六九円となり、近親者付添費用の金額として相当であるので、右一〇万三、四五〇円は原告由美の本件事故により被つた損害と認めてよいと思料される。

(4) 慰藉料

本件事故の態様、原告由美の受傷、治療経過その他諸般の事情をしん酌すると同原告が右事故により被つた精神的苦痛に対する慰藉料は四〇万円が相当であると考えられる。

2 原告慶江の分

原告慶江本人尋問の結果によれば、原告慶江は本件事故による原告由美の受傷により、かなりの心労を負わされたことは認められるが、その精神的苦痛は被害者である子が生命を害された場合にも比肩すべきまたはその場合に比して著しく劣らない程度の精神的苦痛にまではいまだ至つていないので原告慶江は同由美の受傷に伴う自己の権利として慰藉料を被告らに対して請求できない。なお原告慶江は被告圓尾の乙事件の不当提起を主張するが、同原告と同被告との本件事故発生についての過失割合、原告由美の損害額の算定等に微妙、困難な問題があるので、必ずしも同被告の右訴の提起は不当であるとはいえないのでそれによる原告慶江の精神的苦痛に対する慰藉料もこれを肯認することはできない。したがつて、その余の判断をするまでもなく、同原告の被告らに対する本訴請求は、弁護士費用の請求も含めて失当であるといわざるをえない。

三  そうしてみると、原告由美の損害額は一五八万一、一三五円となるので、これにつき前記一の(二)に説示の被告圓尾と原告慶江との過失割合等をしん酌して過失相殺し、二〇%を減じた一二六万四、九〇八円が原告由美の被告両名に対する損害賠償債権額になるが、そのうち一二〇万三、九九〇円を被告圓尾が同原告に対し弁済していることは当事者間に争いがないので、結局、残債権額は六万〇、九一八円になり、本件事案の内容、訴訟経過、その難易度、前記認容額等を勘案すると弁護士費用は一万円が相当であると認められる。

四  よつて、被告両名は各自、原告由美に対して残債務額および弁護士費用合計七万〇、九一八円およびこれに対する訴状送達日の翌日である昭和五一年一二月二七日から完済まで民法所定年五分の割合による遅延損害金の支払義務があるので、右の限度で同原告の被告両名に対する本訴請求を正当として認容し、同原告のその余の請求および原告慶江の本訴請求全部は理由がないのでいずれも失当として棄却し、訴訟費用の負担および仮執行の宣言につき民訴法八九条、九二条本文、九三条一項、一九六条一項を各適用して主文のとおり判決する。

(乙事件について)

五 前記甲事件について説示、認定のとおり、原告は被告由美に対し、自賠法三条本文により本件事故によつて同被告が被つた損害につき一二六万四、九〇八円の賠償債務があり、そのうち原告の弁済額は一二〇万三、九九〇円で、なお残債務六万〇、九一八円が残存している。したがつて被告由美および同慶江には法律上原因のない利得がなく、また原告も同様の損失はない。したがつて、その余の判断をするまでもなく、原告の被告両名に対する本訴請求はいずれも失当であるというほかはない。

六 よつて、原告の被告両名に対する本訴請求をすべて失当として棄却し、訴訟費用の負担につき民訴法八九条を適用して主文のとおり判決する。

(裁判官 片岡安夫)

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